ジャーマニーとはどこの国?日本が「ドイツ」と呼ぶ歴史の真相に迫る
ジャーマニーとはどこの国?日本が「ドイツ」と呼ぶ歴史の真相に迫るに関する疑問を分かりやすくまとめました。最新データをチェックしましょう。
インターネット上の質問サイトなどで定期的に見られる大きな誤解が、「英語の『Dutch(ダッチ)』はドイツ人のことではないのか?」という疑問です。
「Dutch」という英単語の響きは、明らかにドイツ語の「Deutsch(ドイチュ)」と酷似しています。しかし現代英語において、「Dutch」が指すのはドイツではなく「オランダ(オランダ人・オランダ語)」です。ここには、中世ヨーロッパの言語史における皮肉なすれ違いが存在します。
かつて中世のイギリス人は、ライン川流域から低地地方(現在のオランダ・ベルギー・ドイツ北部)に住むゲルマン系諸民族を一括りに「Dutch」と呼んでいました。その後、大航海時代に海洋国家としてイギリスの前に立ちはだかったのが、目と鼻の先に位置するネーデルラント(オランダ)でした。イギリス人は最も頻繁に争い、交易した低地地方の人々を固定的に「Dutch」と呼び続けた結果、後に内陸部で成立した近代国家ドイツに対してはラテン語由来の「German」をあてるようになったのです。
つまり、語源的には「Deutsch(ドイツ)」と同じ語である「Dutch」が英語圏ではオランダを意味し、当のドイツは「Germany」と呼ばれるという、極めて紛らわしいねじれ現象が完成しました。この歴史的経緯を知らないと、「ジャーマニー」「ドイツ」「ダッチ」の3つが頭の中で複雑に絡み合ってしまう原因になります。
【プロの結論】外名(他称)と内名(自称)の視点から見出すべき国際理解の教訓
言語社会学には、自民族が自らを呼ぶ名前を「内名(エンドニム:Endonym)」、他民族が外部から呼ぶ名前を「外名(エクソニム:Exonym)」と定義する枠組みがあります。
日本人が自国を「にほん/にっぽん」と呼ぶのに対し、世界では「Japan」「Japon」「Giappone」と呼ぶのも外名の典型例です。同様に、「ジャーマニー」はイギリス・アメリカ等から見た外名であり、「ドイチュラント」は内名にあたります。そして日本が使う「ドイツ」は、オランダという第三者を介して輸入された、極めて内名に近いユニークな外名です。
この事実は、現代の国際社会を生きる私たちに重要な教訓を与えてくれます。ひとつの国家であっても、歴史のどの段階で、どの国を経由して接触したかによって、名付けの論理は根本から異なります。「自国で慣れ親しんだ呼び名が世界共通である」という無意識の思い込みを外し、相手が自国をどう呼んでいるのか(内名)、国際社会でどう共有されているのか(共通外名)の複眼的な視点を持つことこそが、真の異文化リテラシーの第一歩となります。