アイルトン・セナ事故の真実|死因とステアリング破損裁判の全貌

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事故後、イタリア検察当局は業務上過失致死の容疑でウィリアムズの最高責任者フランク・ウィリアムズ、テクニカルディレクターのパトリック・ヘッド、そしてチーフデザイナーのエイドリアン・ニューウェイらを起訴しました。イタリアの法制度では、国内の公認競技で起きた死亡事故であっても刑事責任の追及対象となるためです。

足かけ10年以上に及んだ長期法廷闘争の末、2007年のイタリア最高裁判所判決において、「事故原因は欠陥工事されたステアリングシャフトの破断であり、その設計・施工管理上の責任はテクニカルチーフのパトリック・ヘッドにある」と認定されました。しかし、イタリア国内法務規程における公訴時効(最長期)がすでに成立していたため、実質的な刑事処罰は科されず、無罪(免訴)という形で法的手続きは終結しました。

卓越したマシンデザイナーとして現代に至るまでF1界の頂点に君臨するエイドリアン・ニューウェイは、2017年に上梓した自伝『How to Build a Car(エイドリアン・ニューウェイ自伝)』の中で、この事故に対する生涯消えない苦悩と証言を克明に綴っています。

ニューウェイは自著の中で、「自分の手で設計した改造ステアリングシャフトは、技術的見地から見ても極めて稚拙なエンジニアリングの失敗作であった」と率直に認めています。ただし、事故の真の初動トリガーについては疑問を残しており、「オンボード映像を見る限り、マシンはまずリヤのグリップを失ってステップアウトしている。ステアリングシャフトが壊れたのなら完全なアンダーステア(直進)になるはずだ。低圧タイヤと路面の段差による底打ち(エアロダイナミクスの破綻)がマシンの挙動を乱し、セナがそれをカウンターステアで立て直そうと修正舵を入れた過酷な負荷によって、すでにクラックの入っていた粗雑なシャフトが耐えきれず破断したのではないか」という工学的良心からの重い見解を示しています。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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