もののけ姫の祟り神とは何者か?怨念の正体と腕の呪いに隠された真実
もののけ姫の祟り神とは何者か?怨念の正体と腕の呪いに隠された真実について知っておくべき 事実を分かりやすい構成で解説いたします。
物語の冒頭でアシタカたちの村を襲ったタタリ神の正体は、西方の山奥に君臨していた巨大な猪神「ナゴの守(ナゴのかみ)」です。ナゴの守は元来、森の秩序を保ち、巨大な体躯と気高い誇りを持つ神聖な守護神でした。しかし、鉄を求めて森を切り開く人間集団「タタラ場」を統率するエボシ御前たちが放った石火矢(いしびや)の「鉄の弾(つぶて)」によって体内に致命的な傷を負わされます。
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砕けた骨肉のなかで鉛の弾が熱を持ち、内臓を焼き続ける耐え難い激痛。自らの棲み処を奪われた絶望と人間への激しい憎悪が、ナゴの守の理性を完全に焼き尽くしました。スタジオジブリの公式設定資料や絵コンテにおいても、タタリ神化とは「激痛と憎悪の極限状態によって、神格が腐乱し狂気へ転落した姿」と定義されています。ナゴの守が息絶える直前、俳優の佐藤允氏が吹き込んだ「穢らわしい奴らめ。我が苦しみと無念を知るがいい…!」という呪詛のセリフは、理不尽に命を奪われた自然の慟哭そのものでした。
同様の悲劇を辿ったのが、鎮西(九州)から海を渡って一族を率いてやってきた盲目の長老猪神「乙事主(おっことぬし)」です。500歳の高齢でありながら気高さを失わなかった乙事主ですが、ジコ坊率いる唐傘連とエボシの軍勢による地雷と石火矢を用いた殲滅作戦により、誇り高き猪神の一族は全滅。瀕死の重傷を負った乙事主は、死んだ仲間の皮を剥いで被った人間の狩人たちを「黄泉の国から蘇った一族」と錯乱・誤認させられ、精神を極限まで追い詰められます。
自分を救おうとするサン(もののけ姫)の必死の制止も届かず、悲哀と絶望に呑まれた乙事主の毛穴からはドロドロとした黒い泥のような触手が噴出し、第2のタタリ神へと変貌していきました。神でさえも激痛と理不尽な暴力の前には正気を保てず、怨念の化身へと堕ちてしまう――この冷徹な描写こそが『もののけ姫』のリアリズムを象徴しています。