人間の血管は地球2周半!総延長10万Kmの根拠と毛細血管の新常識
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地球2周半にも及ぶ10万kmのパイプラインが存在するとなると、ひとつの素朴な疑問が生じます。「その端から端まで血液が巡るには、膨大な時間がかかるのではないか」という点です。
ところが、成人の体内を流れる血液量はおよそ4〜5リットル(体重の約8%)に過ぎず、この血液が心臓を出発して全身の毛細血管を駆け巡り、再び心臓へと帰還する循環時間は平均してわずか40〜50秒程度です。このスピード感を実現しているのが、心臓を中心とした効率的な「体循環」と「肺循環」の並列配管システムです。
心臓の左心室から拍出された動脈血は、秒速約1メートルという猛烈な速度で大動脈へと飛び出します。血液は樹木のように枝分かれする細動脈を経て毛細血管へと流れ込みますが、血管が枝分かれして総断面積が劇的に広がるため、毛細血管内での血液流速は一転して秒速約0.5〜1ミリメートルまで緩やかになります。この超スローダウンによって、組織との栄養・酸素交換が確実に行われます。そして、毛細血管を抜けた血液は静脈へと合流し、呼吸や骨格筋のポンプ運動にアシストされながら加速し、右心房へと滑り込みます。
肺で新鮮な酸素を取り込んだ血液は即座に左心室へ送られ、次のサイクルへと向かいます。地球2周半の長さがありながら、決して直列に10万km繋がっているわけではなく、全身の臓器や手足へ向けた無数のバイパスが「並列」に張り巡らされているからこそ、わずか1分足らずでの高速全身循環が成り立っています。