頬に手を当てる如意輪観音の秘密|国宝仏が示す慈悲と真言の真価
頬に手を当てる如意輪観音の秘密|国宝仏が示す慈悲と真言の真価の概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。
日本国内に伝わる如意輪観音像のなかでも、密教美術の最高到達点として別格のオーラを放つのが「日本三大如意輪」に数えられる名刹の秘仏群です。
観心寺(大阪府河内長野市):妖艶と称される国宝秘仏
弘法大師空海が北斗七星を勧請した霊場として知られる観心寺の如意輪観音坐像(国宝)は、平安時代初期(9世紀前半)の密教彫刻の金字塔です。榧(かや)の一木造で、像高は約108.8cm。豊かな肉付き、ふくよかな頬と官能的とも評される引き締まった肉体表現、そして朱や緑の彩色が今なお鮮やかに残る神秘的な佇まいは、観る者を圧倒します。 この秘仏は普段は堅く閉ざされた厨子の中に安置されており、開扉されるのは毎年4月17日・18日のわずか2日間のみ。現地を訪れた拝観者からは「静謐さの中に圧倒的な生命力を感じる」「ただ美しいだけでなく、内面の迷いをすべて見透かされるような凄みがある」といった感嘆の声が絶えません。
石山寺(滋賀県大津市):紫式部ゆかりの勅封秘仏
琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川のほとりに位置する石山寺の本尊・如意輪観音半跏像(重要文化財)は、巨大な硅灰石(天然記念物)の上に鎮座する33年に一度のみ開扉される勅封秘仏です。天皇の勅使が立ち会わなければ扉を開けることが許されない格式を誇り、直近では2016年の秋に御開帳が行われました。平安時代の文学者・紫式部が『源氏物語』の着想を得るために参籠したことでも知られ、安産・縁結び・厄除けを願う参拝者が全国から途切れることなく訪れます。 その他、兵庫県西宮市の神呪寺(甲山大師)に伝わる融通観音(毎年5月18日開帳)や、滋賀県大津市の園城寺(三井寺)の秘仏など、平安密教の美意識が結晶化した重要作が関西圏を中心に大切に護持されています。