序奏とロンド・カプリチオーソの魔力|超絶技巧と羽生結弦の伝説
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フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンスが若干28歳の時に書き上げた『序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 作品28』は、当時19歳にしてヨーロッパ中を席巻していたスペイン出身のヴァイオリンの巨匠、パブロ・デ・サラサーテに献呈された作品です。初演は1867年、サラサーテ自身の独奏とサン=サーンスの指揮によって行われ、熱狂的な大成功を収めました。
本作の構成は、大きく「序奏(Andante malinconico)」と「主部(Rondo, Animato)」の2部から成り立ちます。
【序奏:アンダンテ・マリンコニコ(憂鬱なアンダンテ)】
冒頭、イ短調の重く切ないヴァイオリンの独奏が静かに歌い出されます。「マリンコニコ(憂鬱な)」の指示通り、スペイン風の物悲しさとフランス音楽特有の洗練されたエレガンスが交錯する旋律は、聴き手の胸を締め付けます。カデンツァ風の華麗なアルペジオと繊細なトリルを経て、緊張感が極限まで高まったところで主部へと突入します。
【主部:ロンド・アニマート(生き生きとしたロンド)】
2/4拍子の軽快かつ情熱的なロンド主題が提示されます。シンコペーションを多用したリズミカルな主旋律、スタッカートによる軽快な跳躍、急速な重音奏法、そして指板全体を駆け巡る高難度のアルペジオが怒涛のごとく展開されます。中間部では甘美なカンタービレ(歌うような旋律)が顔を覗かせますが、最後はテンポを「ピウ・アレグロ(より速く)」へと上げ、眩いばかりの熱狂のなかで華々しく幕を閉じます。