優越的地位の濫用はどこから違法?下請法との違いと最新摘発事例
優越的地位の濫用はどこから違法?下請法との違いと最新摘発事例の重要なポイントについて、最新情報を詳しくお届けします。
取引先との力関係を利用した不当な要求が、法的にどこからアウトになるのか。その根拠となるのが独占禁止法第2条第9項第5号に規定される「優越的地位の濫用」です。この規定が適用されるか否かは、市場全体を支配するような圧倒的シェアを持つガリバー企業であるかどうかとは無関係に判断されます。独占禁止法が問うのは、あくまで「目の前の取引相手に対して優位に立っているかどうか」という相対的な力関係です。
法的に違反と認められるための成立要件と判断基準は、大きく分けて次の3つの要素で構成されています。
第一に「自己の取引上の地位が相手方に優越していること」です。これは、受注側にとって発注元との取引額が総売上の大半を占めており、取引を打ち切られると事業継続が困難になる場合や、他に代替できる取引先を容易に見つけられない状況を指します。実務上は、売上依存度が20〜30%程度であっても、市場環境次第で優越性が認められるケースが珍しくありません。
第二に「正常な商慣習に照らして不当に、相手方に不利益を与える行為」を行っていることです。発注側が自らの利益を図るために、取引先に一方的な負担を強いる行為がこれに該当します。あらかじめ契約書に定めのない作業を追加費用なしでやらせたり、自社のミスで発生した損害を下請け側に転嫁したりする行為は典型的な濫用とみなされます。
第三に、その行為によって「相手方が自由な意思決定を阻害され、正常な競争秩序が乱されること」です。現場で最も多い弁明が「相手の社長も納得してサインした」というものですが、行政判断において形式的な合意書は何の免罪符にもなりません。「契約を切られる恐怖から、断りたくても断れなかった」という客観的事実が存在する限り、法はそれを優越的地位の濫用と認定します。