高知弁「たっすいが」の本当の意味とは?キリンCmの真相と正しい使い方

高知弁「たっすいが」の本当の意味とは?キリンCmの真相と正しい使い方の重要なポイントについて、専門知識を詳しくお届けします。

なぜローカルな一地方方言が、全国に知れ渡るまでのブランドパワーを持つに至ったのか。その震源地は、1990年代にキリンビール高知支社が仕掛けた地域密着型プロモーションにありました。

当時、日本のビール市場では1987年に登場したアサヒビール「スーパードライ」が空前の大旋風を巻き起こしていました。すっきりとした「辛口・キレ」を前面に押し出したスーパードライは、全国のシェアを瞬く間に塗り替え、長年ガリバーとして君臨していたキリンビールの牙城を脅かします。この危機感は、日本有数の「大酒豪県」として知られる高知県においても同様でした。

総務省統計局が発表する家計調査(2人以上の世帯)の品目別支出金額において、県庁所在地の高知市は、酒類全体の年間支出額およびビール・発泡酒等の消費量で常に全国トップ3の常連であり、全国平均の1.3〜1.5倍に達する年が珍しくありません。高知でのシェア争奪戦は、ビールメーカー各社にとって絶対に落とせない象徴的な「天王山」だったのです。

当時のキリンビール高知支社の営業チームは、高知特有の「おきゃく(土佐の大宴会文化)」の場を徹底的にリサーチしました。そこで古くからの酒飲みたちが漏らしていた「近頃流行りのビールは軽すぎて水みたいだ」「やっぱりビールは苦味とコクがガツンと効いちょらんと飲んだ気がせん」という本音を掬い上げたのです。これこそが、熱狂を生んだキリンラガーポスター「たっすいがは、いかん!」誕生の瞬間でした。

「軽快ですっきり」を売りにするライバルに対し、「苦味と重厚さ」を誇るキリンラガーのアイデンティティを、「薄っぺらいものは我慢ならん」という土佐人の美学に直結させたこのコピーは、県民の自尊心を強烈に刺激しました。居酒屋の軒先に貼られた短冊ポスターは盗難が相次ぐほどの人気を博し、キリンビールは高知県において圧倒的なシェアを死守することに成功したのです。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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