豚肉の生焼けで食中毒?潜伏期間と症状・今すぐやるべき対処法
豚肉の生焼けで食中毒?潜伏期間と症状・今すぐやるべき対処法とは一体何なのか? 詳しい意味を整理してお届けします。
豚肉の生食が食品衛生法で厳格に規制されている背景には、単なる一過性の胃腸炎にとどまらない致命的な健康被害が存在するためです。
厚生労働省の通達により、2015年6月から豚の肉や内臓(レバー等)を生食用として販売・提供することは法律で禁止されています。牛レバーの生食禁止に続き、豚肉の生食禁止が法制化された最大の理由はE型肝炎ウイルス(HEV)の感染事例が多発したことにあります。
E型肝炎は感染者の大半が不顕性感染(無症状)または軽症で経過するものの、高齢者や免疫不全者では劇症肝炎に移行して命を落とす事例が報告されています。さらに極めて危険なのが妊娠中の初感染です。妊娠後期にE型肝炎に感染すると劇症化しやすく、母体死亡率は約20%に跳ね上がるとする疫学研究が報告されています。
また、妊娠中の生肉摂取ではトキソプラズマ原虫の胎盤感染も深刻な脅威です。母体自身は風邪に似た軽度の症状、あるいは無症状であっても、胎盤を通じて胎児に感染すると、水頭症、脈絡網膜炎、脳内石灰化、精神運動発達遅滞などを引き起こす「先天性トキソプラズマ症」の原因となります。
さらに、カンピロバクター腸炎を発症した場合、感染から1〜3週間後に手足の麻痺や呼吸困難を引き起こす自己免疫性神経疾患「ギラン・バレー症候群」を続発するリスクが一定割合で存在します。豚肉の加熱不足は、後遺症を残す大病の引き金になり得るのです。