抗利尿ホルモン不適合分泌症候群とは?浮腫なし低Na血症の原因と治療を徹底解説

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群とは?浮腫なし低Na血症の原因と治療を徹底解説に関する疑問を丁寧にまとめました。詳細な解説をご確認ください。

SIADHは独立した疾患というよりも、背景にある基礎疾患や外因によって引き起こされる「病態症候群」です。臨床統計において原因の大部分を占めるのは、「悪性腫瘍」「中枢神経疾患」「呼吸器疾患」「薬剤性」の4大カテゴリーです。

1. 悪性腫瘍:肺小細胞癌による異所性産生

腫瘍性SIADHの原因として最も代表的なものが肺小細胞癌(SCLC: Small Cell Lung Cancer)です。肺小細胞癌患者の約10〜15%にSIADHが合併すると報告されています。神経内分泌腫瘍の性格を持つ癌細胞自体が、生体の浸透圧調整とは無関係にバソプレシン前駆体(プレプロバソプレシン)を自律的に大量合成・分泌する「異所性バソプレシン産生」がその機序です。

原因不明の難治性低ナトリウム血症を契機に胸部CTを撮影し、原発巣である肺小細胞癌が発見されるケースも日常臨床で頻繁に遭遇します。この場合、抗がん剤治療による腫瘍縮小に伴ってSIADHも劇的に改善します。

2. 中枢神経疾患および呼吸器疾患

脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、頭部外傷、髄膜炎・脳炎などの中枢神経系病変では、視床下部や下垂体後葉が機械的圧迫や虚血・炎症刺激を受け、バソプレシンが無秩序に血中へ放出されます。また、肺炎(マイコプラズマ肺炎やレジオネラ肺炎など)、肺結核、急性呼吸不全などの肺疾患では、低酸素血症や胸腔内圧の変動、迷走神経受容体を介した反射弓によって下垂体からのバソプレシン分泌が亢進します。

3. 急増する「薬剤性SIADH」の主な原因薬

高齢化に伴う多剤併用(ポリファーマシー)の進展により、現場で最も遭遇頻度が高まっているのが薬剤性SIADHです。原因薬剤は中枢神経系へ作用しバソプレシン分泌を促進するものと、腎臓での感受性を増強するものに分かれます。

  • 抗うつ薬(SSRI / SNRI):セルトラリン、エスシタロプラム、デュロキセチンなど。特に高齢者の投与開始後数週間以内に好発。
  • 抗てんかん薬・向精神薬:カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸、フェノチアジン系・ブチロフェノン系抗精神病薬。
  • 抗がん剤:ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、シスプラチン。
  • 消炎鎮痛薬・その他:NSAIDs(腎局所のプロスタグランジン合成を阻害し、バソプレシン作用を増強)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)。
高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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