「メリバとは」絶望か救いか?当事者だけのハッピーエンドを解剖
「メリバとは」絶望か救いか?当事者だけのハッピーエンドを解剖について見逃せない 注意点を厳選して解説いたします。
「誰かの天国は、誰かの地獄である」——メリバの神髄はこの一言に集約される。従来の作品で描かれてきたハッピーエンドは、主人公を含めた主要な登場人物や世界全体が救われ、読者もまた爽快感を得るのが大前提だった。しかしメリバの世界では、その前提が根底から覆される。
例えば、世界を滅ぼす代わりに最愛のパートナーとふたりきりの閉ざされた空間で永遠に暮らす道を選んだ主人公がいたとしよう。ふたりにとってはこれ以上ない愛の成就であり、幸福の絶頂だ。だが、残された世界や周囲の人間から見れば、それは完全なるバッドエンドに他ならない。客観的な倫理や社会規範を捨て去り、狂気的なまでの自己完結した愛や幸福へと没入していく。観客はその異様な美しさに息を呑みながらも、あまりの救い難さに身もだえすることになる。