タールに依存性は存在しない?煙草をやめられない真実と最新科学の結論
タールに依存性は存在しない?煙草をやめられない真実と最新科学の結論とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
「タール依存性の真相」を医学的根拠から率直に明かすとすれば、タールそのものに脳を物質依存に陥らせる薬理作用は存在しません。煙草をやめたくてもやめられない元凶は、100%ニコチンが引き起こす中枢神経系への直接作用です。
タバコの煙を肺深く吸い込むと、ニコチンは毛細血管から血液に移行し、わずか約7秒という超高速で脳内の血液脳関門を突破します。脳に到達したニコチンが神経細胞の「アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)」に結合すると、快楽や意欲を司る神経伝達物質ドーパミンが強制的に大量放出されます。このとき脳が覚える「至福感」「頭が冴える感覚」こそが、ドーパミン受容体と依存の理由の起点です。
問題は、この人工的なドーパミン刺激が繰り返されることで生じる神経の変性です。脳は過剰な刺激から自らを守るため、受容体の感度を鈍らせ、さらには受容体の数そのものを増やしてしまいます。その結果、ニコチンが切れると自前のドーパミン分泌だけでは平常心を維持できなくなり、「イライラする」「集中できない」「不安に襲われる」といった欠乏状態、すなわちニコチン依存症のメカニズムが完成します。
では、タールとは一体何なのでしょうか。専門用語としてのタールは単一の物質ではなく、「タバコの煙から水分とニコチンを除いた、粒子状物質の混合物全体」を指す総称に過ぎません。いわば木炭の煙から出る「ヤニ」と同じススのかたまりです。タールは喉や肺にズシリとくる「吸いごたえ(キック感)」を演出するため、喫煙者の心理において「タールが強い=依存が強い」と錯覚されがちですが、実際に脳を縛り付けているのは無色透明の神経毒であるニコチンなのです。