会話内容をすぐ忘れるのは病気?Adhdや若年性認知症の兆候と受診基準
会話内容をすぐ忘れるのは病気?Adhdや若年性認知症の兆候と受診基準について見逃せない ポイントを厳選して解説いたします。
「商談でクライアントが言った条件を、メモを取ろうとした3秒後には完全に思い出せなくなっていた。同僚の顔が引きつっているのを見て、自分の脳が壊れてしまったのではないかと震えました」
都内のIT企業で働く31歳の男性は、当時の恐怖をそう振り返ります。SNSや知恵袋などのコミュニティを検証すると、20代・30代で物忘れがひどい病気ではないかとパニックに陥る投稿が毎日のように寄せられています。「カフェでの注文内容を席に着く前に忘れる」「さっきまでLINEでやり取りしていた話題が分からない」といった、日常生活の些細なほころびが仕事上の致命的なミスに直結する現役世代の苦悩が浮き彫りになっています。
厚生労働省の調査や疫学データによると、65歳未満で発症する若年性認知症の患者数は人口10万人あたり約50.9人と推計されており、20代や30代前半における発症率は統計的にもごくわずかです。ではなぜ、これほどまでに若い世代が会話の消失に悩まされているのでしょうか。
産業医や精神科医への取材を総合すると、浮かび上がるのは「デジタル機器による認知的過負荷」と「過剰適応によるバーンアウト」の構図です。現代人はスマートフォンを通じて1日に接する情報量が数十年前の数千倍に達しており、脳の前頭葉は常に情報処理の飽和状態に置かれています。そこへ業務上のマルチタスクや睡眠不足、将来への慢性的な不安が重なることで、脳の処理限界を超えてしまうのです。
実際にメンタルクリニックを訪れる20代・30代の多くが、詳細な問診や心理検査を経て下される診断は、大人の発達障害の物忘れ特徴が職場環境の変化によって顕在化したケースか、あるいは深刻な記憶力低下とうつ病の兆候が結びついた「過労性うつ・適応障害」です。「認知症かもしれない」という極端な恐怖の裏には、自らの脳を極限まで酷使し続けている過酷な生活環境が存在しています。