冠位十二階の色の順番と最高位「紫」の真相!12色の意味と覚え方
冠位十二階の色の順番と最高位「紫」の真相!12色の意味と覚え方の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。
冠位十二階の配色を考察する上で、多くの歴史愛好家や研究者が注目するのが「なぜ最高位に紫が選ばれたのか」という疑問です。
古代中国の自然哲学である「五行思想」では、万物は「木・火・土・金・水」の5つの元素から成り立っており、それぞれに対応する正色(せいしょく)は「青・赤・黄・白・黒」と定められています。五行思想の原則に従えば、宇宙の中心や皇帝を象徴する色は「土」に対応する黄色です。儒教の五常(仁・礼・信・義・智)においても、「信」に対応する黄色が中核に位置づけられます。
しかし、聖徳太子らは黄色を第7位・第8位(大信・小信)に留め、その上に五行の枠組みには存在しない「徳」を新設し、色として紫(濃紫・薄紫)を冠の頂点に据えました。この大胆な配色の背景には、3つの決定的な理由が存在します。
第一に、染料としての圧倒的な希少価値です。
当時、紫色を染め出すためには多年草である「紫草(ムラサキ)」の乾燥した根(紫根)が必要でしたが、栽培が極めて難しく、大量の根を使わなければ濃い紫色を発色させることができませんでした。絹1反を濃紫に染めるには膨大なコストと熟練の技術を要したため、紫は古今東西を問わず「富と最高権力の象徴」でした。
第二に、古代中国(漢・隋)における格式と道教思想の影響です。
中国の天文学・道教において、天帝(宇宙を統べる神)が住まうとされる北極星周辺の星座は「紫微垣(しびえん)」と呼ばれていました。また、漢代以降の中国宮廷でも紫色は皇帝や高官のみに許される特別な禁色(きんじき)として定着していました。日本が律令国家としての威信を示すにあたり、中国王朝の格式を踏襲した最高位のカラーコードが紫だったのです。
第三に、対外的な外交アピールです。
推古朝は、小野妹子らを派遣した遣隋使に代表されるように、中国・隋と対等な外交関係を結ぼうとしていた時代でした。隋の使節を迎える際や、日本の外交官が中国朝廷に赴いた際、国際標準として「最も尊い色」である紫を頂点に戴く十二階の序列を示すことで、日本が決して野蛮な東夷ではなく、高度な礼節と秩序を備えた文明国家であることを誇示する狙いがありました。