ガラスの靴はなぜ割れない?誤訳説の真相とプロポーズ人気の秘密
ガラスの靴はなぜ割れない?誤訳説の真相とプロポーズ人気の秘密とはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
『シンデレラ』をめぐる最大のミステリーとして語り継がれているのが、「ガラスの靴 誤訳 リス 毛皮」説です。フランス語において「ガラス」を意味する「verre(ヴェール)」と、中世貴族が衣服の襟や裏地に使った「リスの毛皮」を意味する古語「vair(ヴェール)」が同音異義語であることから、「口承民話の毛皮の靴が、書き起こす際にガラスへと誤って翻訳・記録された」という言説が広く出回りました。
この説を19世紀に唱えて広めた代表格が、フランスの文豪オノレ・ド・バルザックです。リアリズムを重んじる小説家たちの視点から見れば、「足にフィットしない割れやすいガラスの靴など履けるはずがない」という疑問が生じるのは当然でした。
しかし、近年のフランス文学研究および民俗学の一次資料検証により、この誤訳説は明確に否定されています。1697年に『サンドリヨン(Cendrillon)』を著したシャルル・ペローは、宮廷文学としての華やかさとファンタジー性を高めるため、あえて日常的な毛皮ではなく「pantoufle de verre(ガラスの上靴)」という非現実的な素材を自らの筆で選別・創作しました。当時の印刷版原本にも明確に「verre」と記されており、翻訳時の聞き間違いや誤植ではないことが確認されています。