ロールスロイスのエンブレムに秘められた悲恋の真相とRrロゴの意味
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このスピリット・オブ・エクスタシーには、胸を締め付けるような悲恋のバックストーリーが存在します。モデルとなった女性の正体は、当時オートカー誌の編集者などを務めていたエレノア・ヴェラスコ・ソーントンです。彼女は類まれな美貌と知性を持ち、上流階級の有力貴族であったジョン・モンタギュー男爵の秘書を務めていました。
やがて二人は深い恋に落ちますが、当時のイギリス社会における身分制度の壁はあまりにも厚く、貴族である男爵が庶民階級のエレノアと公に結ばれることは許されませんでした。モンタギュー男爵は家柄に見合う別の女性と政略結婚を選びながらも、エレノアへの情熱を断ち切ることはできず、二人は長年にわたり秘密の関係を続けます。
男爵は友人であった彫刻家のチャールズ・サイクスに依頼し、自分の愛車「シルバーゴースト」のためにエレノアをかたどった専用のマスコットを作らせました。人差し指を唇に当て、「二人の愛は秘密」であることを暗示するその像は「ウィスパー(The Whisper / 囁き)」と名付けられます。この私的な彫像こそが、後のスピリット・オブ・エクスタシーの直接の原型となったのです。
しかし、愛の結末は唐突に訪れます。1915年、第一次世界大戦の戦火の中、男爵とエレノアを乗せた客船「SSペルシャ号」が地中海でドイツの潜水艦Uボートの魚雷攻撃を受け沈没。男爵は奇跡的に救出されたものの、エレノアは冷たい海の底へと消え、帰らぬ人となりました。永遠に結ばれることのなかった悲運の女性は、いまもロールス・ロイスのフロントエンドに立ち、風を受けながら世界中の道を駆け続けています。