はやり目と結膜炎の違いとは?症状の見分け方と出勤停止基準を徹底解説
はやり目と結膜炎の違いとは?症状の見分け方と出勤停止基準を徹底解説について押さえておきたい ポイントを厳選して解説いたします。
インターネット上の掲示板やSNSでは、「結膜炎くらい病院に行かなくても数日で自然治癒する」「市販の抗菌目薬を差しておけば大丈夫」といった根拠のない情報が散見されます。しかし、はやり目においてこの認識は極めて危険です。
市販の抗菌目薬ではアデノウイルスを殺せない
薬局やドラッグストアで市販されている「ものもらい・結膜炎用目薬」の主成分は、サルファ剤などの「抗菌薬(抗生物質)」です。抗菌薬は「細菌(バクテリア)」の細胞壁やタンパク質合成を阻害して破壊する薬であり、構造が根本的に異なる「ウイルス」には一切の効果がありません。アデノウイルスに対して市販の抗菌目薬を使用することは、まったく無意味であるばかりか、防腐剤による角膜への刺激でかえって症状を悪化させるリスクさえ孕んでいます。
特効薬がないのになぜ眼科受診が必要なのか?
現代の医学をもってしても、アデノウイルスそのものを直接退治する抗ウイルス点眼薬は存在しません。体の免疫機能が抗体を作り、ウイルスを自然に排除するのを待つしかありません。それでは、なぜ眼科を受診しなければならないのでしょうか。そこには2つの重大な理由があります。
- 細菌の二次感染を防ぐ:ウイルスによって結膜や角膜のバリア機能が破壊されると、傷口から細菌が侵入して重篤な混合感染を引き起こす危険があります。これを防ぐため、眼科医の管理下で適切な広域抗菌点眼薬を使用します。
- 角膜上皮下混濁(黒目の濁り)の後遺症を抑える:はやり目の急性期が過ぎた発症後1〜2週間頃に、黒目(角膜)の表面に無数の小さな白い点状の濁りが現れることがあります。激しい炎症反応の名残ですが、これを放置すると角膜が濁ったまま固定化し、「視力低下」「恒久的な目のかすみ」「光が乱反射して眩しい(羞明)」といった重い後遺症が数ヶ月から年単位で残存します。眼科ではこの後遺症を防ぐため、炎症をピンポイントで鎮静化させるステロイド点眼薬を適切な濃度とタイミングで慎重に処方します。
「たかが結膜炎」と高を括って放置し、角膜混濁を起こしてから受診しても、元のクリアな視力を取り戻すには長期のステロイド治療を要します。視力を守るためにも、目の異常を感じた当日に眼科を受診することが不可欠です。