植物人間とは?脳死との違いや回復の可能性・寿命と費用を徹底解説
植物人間とは?脳死との違いや回復の可能性・寿命と費用を徹底解説とは一体何なのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。
「植物人間」という言葉が一般層にこれほど強く刷り込まれた背景には、昭和から平成にかけて列島を駆け巡ったある都市伝説の影響があります。それが、1980年代後半から口コミやチェーンメールを通じて爆発的に広まった「ドラえもん最終回・のび太植物人間説」です。
「ドラえもんとの冒険や日常は、実は交通事故で植物状態になったのび太が病室のベッドで見続けていた長い夢だった」「ドラえもんという存在そのものが、のび太の願望が生み出した幻影だった」というショッキングな結末を語るこの噂は、藤子・F・不二雄氏の生前から幾度となく否定され、完全な創作・デマであることが確定しています。小学館などの公式出版物でも明確に否定されているにもかかわらず、2020年代を超えてもなおネット上で語り継がれています。
都市伝説が助長した「静かに眠る人」という誤認
この都市伝説の構造が現代社会に遺した負の影響は、「植物状態の人間は、ただ安らかに眠りながら夢を見ているような状態である」という無痛・平穏なイメージを植え付けてしまった点にあります。
現場の実態はまったく異なります。植物状態の患者は、決して静かに眠り続けているわけではありません。自力で痰を吐き出すことができないため、頻繁な気道吸引を行わなければ窒息や重篤な誤嚥性肺炎を引き起こします。体位を2〜3時間おきに変換し続けなければ、皮膚が壊死する重度の褥瘡(床ずれ)が骨に達するまで進行します。手足の筋肉は徐々に縮み、関節が固まる「拘縮(こうしゅく)」と闘わなければならず、激しい筋緊張や発汗、無呼吸発作に襲われることさえあります。
フィクションが描く「安らかな眠り」と、現場で繰り広げられる「24時間の壮絶な医療的ケア」との間には、想像を絶する巨大なギャップが存在しています。