九州新幹線の内装が豪華すぎる理由とは?座席の違いや設備を徹底比較
九州新幹線の内装が豪華すぎる理由とは?座席の違いや設備を徹底比較とは一体何なのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。
九州新幹線のドアをくぐった瞬間、誰もが目を見張るのが、木材の温もりに包まれた上質な空間です。JR東海道・山陽新幹線がビジネスユースを主軸に置いた「機能的で均一なオフィス空間」を追求してきたのに対し、JR九州は「乗ること自体が感動体験となる移動空間」を明確なコンセプトに据えてきました。
この独創的な世界観を構築したのが、JR九州の車両デザインを長年手掛けるドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏です。水戸岡氏は数々のインタビューや自著において、「子どもから高齢者までが本物の素材に触れ、豊かな時間を過ごせる公共空間を作りたい」「プラスチックや新建材のフェイクではなく、使い込むほどに味わいが出る本物の木や布を使うべきだ」という確固たる哲学を語っています。
九州新幹線がこれほどまでに豪華な仕様となった背景には、山陽・九州新幹線全線開業時における航空機や高速バスとの熾烈なシェア争いがありました。単なる所要時間の短縮競争にとどまらず、「新幹線でしか味わえない情緒と居心地の良さ」を付加価値として提示する戦略が採られたのです。
車内には、熊本県八代産の「い草」を使ったロールブラインドをはじめ、山桜や楠(クスノキ)、本漆喰、さらには金箔を職人の手作業で貼り巡らせた壁面(800系新幹線の一部編成)など、九州各地の伝統工芸と自然素材が惜しみなく投入されています。大量生産の工業製品とは一線を画すクラフトマンシップが、乗る人に深い安らぎと高揚感を与えています。