『Let It Be』本当の意味とは?亡き母の言葉と解散危機の真相

『Let It Be』本当の意味とは?亡き母の言葉と解散危機の真相の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

この楽曲がレコーディングされた現場の生々しさは、美談だけでは片付けられません。ビートルズ解散危機の真相は、1969年1月に行われた「ゲット・バック・セッション」において最悪の局面を迎えていました。寒々しいトゥイッケナム撮影所にテレビカメラを入れられ、早朝からリハーサルを強いられる過酷な環境。ポールが完璧主義的なリーダーシップを振るおうとすればするほど、他のメンバーの心は離れていきました。

ジョージ・ハリスンはポールの指図に激怒してセッション中に「バンドを辞める」と言い残して一時スタジオを去り、ジョン・レノンは常にオノ・ヨーコを傍らに座らせ、バンドの音楽活動への熱意を急速に失っていました。ポールが痛切な想いを込めてピアノを弾き語る『Let It Be』に対し、スタジオ内の空気は凍りついていたのです。

とりわけジョン・レノンの反応と評価は辛辣を極めました。ジョンはこの曲を「ポール一人による、宗教がかった偽善的な讃美歌」と見なし、露骨な嫌悪感を示しました。1970年の米ローリング・ストーン誌の有名なインタビューで、ジョンは当時の心情を吐き捨てるように語っています。

「あれがポールだ。ビートルズとは何の関係もない。サイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』の真似事をしようとしていたのさ。ウイングスでやるべき曲だったんだ」

アルバム『Let It Be』において、楽曲の直前に「That was 'Can You Dig It' by Georgie Wood…(ちびっ子コメディアンのジョージー・ウッドでした)」というジョンのふざけた呟きが挿入されているのは偶然ではありません。神聖視されるポールのバラードを茶化し、その荘厳さを引きずり降ろそうとするジョンの意図的な抵抗でした。さらに、プロデューサーのフィル・スペクターが後から壮大なオーケストラと合唱を無断でオーバーダビングしたことで、ポール自身も「本来の生々しさが奪われた」と激怒。2003年にストリップダウン版である『Let It Be... Naked』をリリースするまで、30年以上にわたり確執の火種となり続けました。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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