甲状腺の腫れ見分け方|太っただけ?病気のサインとセルフチェック
甲状腺の腫れ見分け方|太っただけ?病気のサインとセルフチェックとはどのようなものなのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
甲状腺全体が均等に腫れ上がる病態を医学用語で「びまん性甲状腺腫」と呼びます。その代表格が、甲状腺機能亢進症を引き起こす「バセドウ病」と、甲状腺機能低下症の主原因となる「橋本病(慢性甲状腺炎)」です。両者は同じ首が太くなった原因と病気でありながら、首の触感や外見、全身に及ぼす症状が正反対の様相を呈します。
びまん性甲状腺腫の写真や臨床画像を比較すると、バセドウ病の首は全体的にふっくらと腫れ、血管新生が活発になるため触ると拍動を感じたり、温かみを帯びて比較的柔らかい弾力性を持つのが特徴です。これに対して橋本病首の腫れ画像では、甲状腺組織が慢性的なリンパ球浸潤によって線維化するため、硬い板が入っているようなゴムまりのような硬度を呈し、首のくびれが埋もれて首全体がどっしりと太く見えます。
さらに見分ける決定打となるのが、全身の代謝スピードの変化に伴う初期症状の現れ方です。
バセドウ病の初期症状は、いわば「身体のアクセルが踏みっぱなし」になった状態です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで基礎代謝が異常に亢進し、涼しい部屋にいても汗が止まらない、動悸が激しく階段を上がると息切れがする、手指が細かく震えて文字が書きづらい、食欲があって食べているのに体重が数キロ減少するといった変化が現れます。進行すると眼球突出などの眼症状が加わることもあります。
対する橋本病は「身体のブレーキがかかった」状態に陥ります。ホルモン分泌が不足することで代謝が低下し、真夏でも寒気を感じる、朝起きたときに顔や手足がひどくむくむ、日中に強い無気力感や眠気に襲われる、肌がカサカサに乾燥する、食事量を減らしても体重が増え続けるといった症状が特徴です。どちらも自覚症状の現れ方が日常的な体調不良と重なりやすいため、首の腫脹とあわせて総合的に観察する必要があります。