黒い羽のトンボは不吉?神様トンボの正体と幸運サインを徹底解明
黒い羽のトンボは不吉?神様トンボの正体と幸運サインを徹底解明とはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。
「黒い羽のトンボを見かけて不吉に感じた」という相談は、インターネット上のコミュニティやSNSでも毎年夏になると頻繁に投稿されます。カラスや黒猫と同様に、西洋由来のカラーシンボリズムにおいて「黒=死・不吉」と連想されがちな現代において、翅(はね)全体が墨を流したように黒いトンボは、見慣れない人にとって強い異質感を与えるからです。
昆虫生態学の記録や地域民俗誌の調査データを照らし合わせると、この不安は完全な誤解であることが分かります。日本において、黒い羽を持つ代表的な種であるハグロトンボ(羽黒蜻蛉)は、古くから地域によって「神様トンボ」「仏トンボ」「極楽トンボ」という極めて神聖な尊称で呼ばれ続けてきました。
そう呼ばれる最大の根拠は、彼らの特異な「止まり方」にあります。一般的な赤とんぼやヤンマ類は、止まるときに羽を左右水平に広げたまま静止します。ところがハグロトンボをはじめとするカワトンボの仲間は、羽を背中の上で垂直に閉じ、立ち止まったまま数秒おきに「フワッ、フワッ」とゆっくり開閉を繰り返します。この羽を閉じて開くリズミカルな動きが、まるで人間が胸の前で両手を合わせ、神仏に祈願や感謝を捧げている「合掌」の姿そのものに見えるのです。
農村部や宿場町として栄えた古い地域では、「神様トンボがやってきたら殺してはならない」「無病息災を祈る存在である」として子どもたちに言い聞かせる風習が色濃く残されてきました。不吉どころか、神仏の加護や祈りの化身として崇められてきたのが、この昆虫の真実の姿です。