発達障害と遺伝の関係とは?最新研究が明かす確率と環境影響の全貌
発達障害と遺伝の関係とは?最新研究が明かす確率と環境影響の全貌について見逃せない ポイントを厳選して解説いたします。
近年の疫学調査および多国籍コホート研究によると、広義の神経発達症における遺伝率は決して無視できない数字を示している。双生児研究のメタアナリシスでは、特性のばらつきのうち遺伝的要因が占める割合(遺伝率)は、おおむね70〜80%程度と試算されることが多い。だが、ここで極めて重要なのは、「遺伝率80%」という数値が「親が発達障害であれば80%の確率で子供に遺伝する」という意味ではないという点だ。
遺伝率はあくまで「集団内における個人差(多様性)のうち、遺伝的違いで説明できる割合」を示す統計学的概念である。特定の単一遺伝子が原因で必ず発症する疾患とは異なり、数多くの遺伝的変異が微細に重なり合い、そこに胎内環境や発生段階における生物学的ストレスといった環境因子が相互作用することで初めて個性が形成される。妊娠期の感染症、低出生体重、親の高齢化などの環境要素も影響を与えるが、それ単体で決まるわけではなく、ゲノムの背景と複雑に混ざり合っているのが現実だ。