初夏の風物詩「さなぶり餅」とは?田植えの伝統と奈良の名店を徹底解剖
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「さなぶり餅」を紐解くうえで欠かせないのが、言葉そのものに宿る農耕儀礼の歴史です。漢字では「早苗饗餅」と書き、古来日本において極めて重要な意味を持っていました。
「さなぶり」の語源は、田の神である「さの神」が山へと帰られる「神送り」を意味する「さ昇り(さのぼり)」が転訛したものと伝えられています。春の初めに山から降りて田を守り、無事に田植えを終えさせてくれた神を、ご馳走でもてなしてもとの山へとお送りする儀式が「早苗饗」でした。
当時の田植えは村総出の共同作業であり、命がけの重労働でもありました。すべての苗を植え終えた解放感のなか、田主が作業を手伝ってくれた「早乙女(さおとめ)」や若者たちに酒や餅を振る舞い、互いの労苦を癒やした宴席の主役こそが、このさなぶり餅だったのです。神と人が同じものを食す「神人共食」の精神が、今なおその素朴な姿の中に息づいています。