胃カメラ画像の白い部分はがん?斑点や白苔の正体と危険度を徹底検証
胃カメラ画像の白い部分はがん?斑点や白苔の正体と危険度を徹底検証について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
内視鏡検査で観察される正常な胃粘膜は、豊富な毛細血管によって「均一なオレンジがかったピンク色(淡赤色)」を呈しています。その中に現れる「白」は、組織の光反射特性や表面構造が何らかの病態によって物理的・光学的に変調をきたした結果にほかなりません。臨床現場において、医師が遭遇する白い所見の発生メカニズムは大きく以下の4つに分類されます。
第一に、フィブリンや壊死組織の付着(白苔:はくたい)です。粘膜表面が胃酸や強い炎症によって深く削れると、潰瘍底を守る生体防御反応としてタンパク質の網目構造であるフィブリンや白血球の死骸が堆積し、まるで皮膚の「かさぶた」のように患部を白く覆います。胃潰瘍の活動期に見られる典型的な現象です。
第二に、粘膜固有層への脂質(コレステロール)沈着です。マクロファージと呼ばれる免疫細胞が脂質を貪食して泡沫化し、粘膜下に密集すると、数ミリ程度の鮮やかな黄白色〜乳白色の小隆起として観察されます。これが「胃黄色腫」と呼ばれる良性所見の成り立ちです。
第三に、粘膜上皮の細胞構造そのものの変化です。長期間の慢性炎症によって胃の粘膜が萎縮すると、胃の細胞が小腸や大腸のような構造へと入れ替わる「腸上皮化生」が起こります。腸型の細胞が分泌する微細な粘液や、微絨毛(びじゅうもう)が光を乱反射させることで、粘膜表面がまだらに白濁して見えます。また、胃底腺ポリープの一部に過形成性の変化や粘液貯留が生じることで、頂部が白っぽく見えるケースも珍しくありません。
第四に、真菌(カビ)の異常増殖です。免疫力の低下や胃酸分泌抑制薬の長期服用によって、口腔内などに常在するカンジダ菌が胃粘膜で繁殖し、白い苔状の付着物(プラーク)を形成します。このように、「白く見える」という単一の視覚現象の裏には、全く異なる生理的・病理的背景が存在しています。