熱せん妄とは?突然叫ぶ異常行動の正体と急性脳症を見分ける基準
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高熱を出した子どもが意味不明な言葉を口走ったり、目に見えない何かに怯えて暴れ出したりする現象。医療現場ではこれを「熱せん妄」と定義しています。熱せん妄の症状として代表的なものは、壁や天井を指差して「虫がいる」「オバケが襲ってくる」と怯える幻視、突然の大声での号泣、誰かと会話しているような辻褄の合わない発言、突発的に走り出すといった異常行動です。
なぜこのような現象が起きるのか。熱せん妄で幻覚を見て叫ぶ理由は、子どもの中枢神経系(脳)の発達段階に深く関係しています。子どもの脳は大人に比べて未熟で、体温の急激な変化に対して非常にデリケートです。インフルエンザや突発性発疹などで体温が39度〜40度超へと急上昇すると、脳の神経伝達物質のバランスや体温調節中枢が一時的な混乱に陥ります。
さらに、脳が睡眠状態(夢を見ているレム睡眠に近い状態)にあるにもかかわらず、身体と意識の一部だけが中途半端に覚醒してしまう「解離状態」が生じます。つまり、子ども本人は強烈な悪夢の中に閉じ込められたまま目を開けて動いている状態であり、現実と夢の境界が消失しているのです。
この熱せん妄は子供は何歳まで見られるのでしょうか。統計上、発症の中心は2歳から10歳前後であり、特に脳が急速に発達する3歳から6歳の幼児期にピークを迎えます。小学校高学年から中学生になるにつれて脳の耐熱性や神経ネットワークが完成するため、自然と見られなくなっていくのが一般的な経過です。
一方で、熱せん妄の大人の症状についても知っておく必要があります。大人であっても、40度近い極度の高熱や重症肺炎、脱水症状、高齢者の基礎疾患などが重なった際にせん妄を呈することがあります。ただし大人の場合、子どもに見られる「突然泣き叫んで逃げ惑う」ような突発的行動よりも、日付や現在地が分からなくなる見当識障害、ぼんやりと天井を見つめてブツブツと呟くような静かな意識混濁が目立つ傾向があります。