過酷な掟と跡継ぎの重圧とは?「梨園の妻」が担う知られざる舞台裏
過酷な掟と跡継ぎの重圧とは?「梨園の妻」が担う知られざる舞台裏について知っておくべき 理由を分かりやすく解説いたします。
梨園の世界において、顧客であり最大のパトロンである後援会(ご贔屓筋)との関係構築は、夫の役者生命を左右する最重要事項です。チケットを定期的に購入し、多額の支援をしてくれる贔屓筋を誰一人として不快にさせてはなりません。
劇場ロビーで着用する着物ひとつをとっても、極めて厳格なマナーが存在します。
・主役を引き立てる控えめな色柄選び
妻が派手すぎる着物で悪目立ちすることは厳禁です。主役である夫や、来場した贔屓筋のご婦人方よりも決して目立たず、上品で落ち着いた訪問着や付下げを選ぶのが鉄則です。
・演目や季節、家紋に合わせた配慮
上演される演目のテーマや季節の草花、家の定紋などを考慮した着こなしが求められます。他家の紋や演目にそぐわない意匠を選んでしまうと、目の肥えた贔屓筋から手厳しい批判を受けることになります。
「自分はあくまで裏方であり、光を浴びるのは夫とご贔屓筋」という徹底した引き算の美学を体現できなければ、梨園の妻としての務めは果たせません。