教習車の死亡事故は誰の責任か?教官と仮免生の法的責任と判例の真相
教習車の死亡事故は誰の責任か?教官と仮免生の法的責任と判例の真相とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
死亡事故という最悪の結果が生じた場合、民事上の損害賠償請求と行政処分の行方も極めて深刻な問題となります。遺族に対する金銭的な賠償責任はどのように処理されるのでしょうか。
民事上の損害賠償責任については、運転者である教習生個人に不法行為責任(民法709条)が発生すると同時に、教習所側にも運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)および使用者責任(民法715条)が発生します。実務上、指定自動車教習所が保有する教習車は対人・対物無制限の任意保険に加入しているため、数千万円から数億円に上る損害賠償金は教習所側の保険から被害者遺族へ支払われるのが一般的です。これにより、教習生個人が自己破産に追い込まれるような破滅的負担は制度上回避されやすくなっています。
一方、他車からの追突事故など相手方に過失がある事案では、相手側の自賠責・任意保険との間で通常の過失相殺が行われます。教習車だからといって過失割合の算定で特別に優遇されることは原則としてありません。
行政処分においては、教習生に対して即座に重い処分が下されます。死亡事故を起こした場合、仮免許の取消処分が下されるだけでなく、重大な違反点数が加算されることで数年間の「免許取得欠格期間」が科されます。運転免許を取得する権利そのものが長期間にわたって剥奪される現実に直面します。