聖トマス大学はなぜ廃校したのか?募集停止の真相と跡地の現在を追う
聖トマス大学はなぜ廃校したのか?募集停止の真相と跡地の現在を追うとはどのようなものなのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。
カトリック大阪大司教区を母体とする学校法人英知学院によって運営されていた聖トマス大学は、長らく英知大学(Sapientia University)の名で親しまれてきました。神学やフランス語、英語を中心とした少人数リベラルアーツ教育で独自の評価を獲得し、関西の中堅私立大グループの一角として堅実な存在感を放っていた時期もあります。
暗転の契機となったのは、2000年代中盤に推し進めた抜本的な大学改革の失敗でした。受験生人口の減少に対抗するため、2007年に大学名をキリスト教神学の巨星トマス・アクィナスに因む「聖トマス大学」へと改称。しかし、長年培ってきた「英知大」のブランド認知度がリセットされる形となり、関西圏の高校教員や受験生への周知は難航しました。関係者の証言によると、「英知大の看板を下ろしたことで、かえって新設校のような扱いを受け、指定校推薦枠の維持にも苦戦した」と振り返られています。
さらに追い打ちをかけたのが学部改組の失敗です。文学部単科からの脱却を図り、人間文化学部など現代的な名称への再編を試みたものの、関関同立や産近甲龍といった近隣の大規模総合大学が相次いで新設した国際系・情報系学部との差別化に失敗。2009年度入試では定員を大幅に割り込み、入学者数が定員の2割程度にまで落ち込む事態に陥りました。累積赤字の拡大と経営再建の見通しが立たなくなった大学側は、2010年度からの全学生募集停止を電撃発表。在学生全員の卒業を見届けた2015年、文部科学省から廃止認可を受け、52年の歴史に幕を閉じました。