あやめとかきつばたの違いとは?花びらと生育場所で見分ける決定版
あやめとかきつばたの違いとは?花びらと生育場所で見分ける決定版とは一体何なのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
鑑賞の現場において、プロの植物園管理士や樹木医が一目で両者を判別する際、真っ先に見る部位が外花被片(がいかひへん=外側の垂れ下がった花びら)の根元です。ここには、送粉者である昆虫を蜜へと誘導する「ネクターガイド(蜜標)」と呼ばれる固有の模様が刻まれています。
あやめの花びら基部には、名前の由来(文目=模様)にもなった明瞭な網目模様(黄色地に紫の網目)が浮き出ます。これに対して、かきつばたの花びら基部には網目が一切なく、すっきりと通った一条の白い筋(白斑)が存在します。さらに、よく混同される花菖蒲の場合、この基部がはっきりとした黄色い菱形の筋を描きます。この花弁中央のサインを把握するだけで、肉眼での識別精度はほぼ100%に達します。
もう一つの決定打が、自生している環境の湿度です。あやめは水はけの良い乾いた土壌や草原・山野を好み、根が水に浸かる状態では根腐れを起こします。一方、かきつばたは水深数センチの水辺や湿地帯でしか健康に育ちません。「足元が水たまりや池の中なら、まずかきつばたか花菖蒲」「乾いた花壇や山の斜面ならあやめ」という環境基準は、遠目から判断する際の強力な手掛かりとなります。