建築とプロダクトを横断した鬼才・黒川雅之の美学が、なぜ今Ai時代の世界中で再評価されているのか
建築とプロダクトを横断した鬼才・黒川雅之の美学が、なぜ今Ai時代の世界中で再評価されているのかにまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
1970年代に発表され、後にニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションにも選定された「GOM」シリーズは、デザイン史における決定的な転換点だった。当時、工業製品の裏方や緩衝材に過ぎなかった黒いゴムを、美徳の表舞台へと引きずり出した視点は革命的と言っていい。
ステンレスや真鍮の冷徹な光沢と、光を吸い込むしっとりとした黒ゴムのマットな質感。対極にある二つの素材がせめぎ合うその造形は、手にした者の指先に強烈な官能をもたらした。効率性や使いやすさだけを追い求める近代主義デザインへのアンチテーゼとして、黒川は「もの」と「人体」が触れ合う皮膚感覚の境界線に、固有の美を見出していたのだ。