「やらぬ善よりやる偽善」の元ネタと真相|寄付・売名論争の心理を徹底分析

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「やらぬ善よりやる偽善」というフレーズを国語辞典や故事成語の辞典で探しても、見出し語として掲載されていることはほぼありません。この言葉は古代中国の思想書や日本の古典文学に由来するものではなく、インターネット黎明期である2000年代初頭の「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」発祥とする説が極めて有力です。

当時、ニュース速報板やボランティア板などでは、災害支援や募金活動を取り上げるスレッドが立つたびに、「偽善者がイメージアップを狙っている」「自己満足で迷惑だ」といった冷笑的な書き込みが溢れていました。そうした不毛な叩き合いに対し、ある名無しユーザーが「いくら心の中で善人を気取って何もしない奴(やらぬ善)よりも、たとえ下心や売名目的であっても実際に行動して誰かを助ける奴(やる偽善)の方が100倍価値がある」という趣旨を、リズミカルな10文字に凝縮して投稿したことが拡散の契機とされています。

なお、漫画やアニメ作品が元ネタとして語られるケースも少なくありません。例えばGAINAX制作のゲーム『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd』の作中表現や、名作コミック『鋼の錬金術師』で描かれた実践主義的なセリフ、作家・筒井康隆氏の随筆に見られる人間観察などが原型として挙げられることがあります。しかし、現在定着している完璧な対句表現として広く社会に浸透させた主役は、間違いなく当時のネットコミュニティでした。

哲学的な源流を辿れば、古代中国の思想家・荀子が唱えた「性悪説」における「為(人為によって後天的に善を為す)」の概念や、18〜19世紀の英国でジェレミ・ベンサムらが確立した「功利主義(結果として最大多数の幸福をもたらす行為を善とする立場)」と完全に軌を一にしています。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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