「西高東低」はついに完全崩壊か?美浦と栗東の最新勢力図に迫る
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薄暗い夜明け前、美浦トレーニングセンターの取材エリアには心地よい緊張感が張り詰めていた。関係者の口から漏れ出る言葉は、かつての劣等感とは無縁だ。「以前なら栗東へ遠征するたびに馬体の張りや基礎体力の差を痛感させられたが、いまは対等以上にぶつかり合える」。あるベテラン調教師は、湯気を立てる競走馬の背筋を見つめながら確信に満ちた笑みを浮かべた。
昭和から平成にかけて定着した「西高東低」の構図は、栗東トレーニングセンターが先行して整備した高負荷な坂路調教に起因していた。心肺機能と後肢の筋肉を極限まで鍛え上げる関西の育成ノウハウに、東の陣営は長く決定打を見いだせずにいた。だが、大規模な改修プロジェクトが完了した現在の調教場では、美浦の馬たちが力強くウッドチップを蹴り上げ、栗東のトップホースと遜色ないタイムを楽な手応えで叩き出している。
現場取材で浮き彫りになったのは、単なる設備の新しさだけではない。調教メニューの設計思想そのものが、より科学的かつ緻密にアップデートされている点だ。関西への輸送を前にしても馬体が細くならず、むしろ充実期を迎えて大一番へ向かう関東馬の姿が、現在の勢力均衡を象徴している。