丸山真男の思想を徹底解剖!無責任の体系と現代に刺さる批判の真相

丸山真男の思想を徹底解剖!無責任の体系と現代に刺さる批判の真相にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

丸山の著作の中で、最も多くの人々に読まれ、教育現場やビジネスの場でも引用され続けているのが、1961年に刊行された岩波新書『日本の思想』です。岩波書店の公表記録によると、同書は新書として累計発行部数100万部を超える記録的ロングセラーを誇ります。本書のエッセンスは、主に2つの独創的な切り口に集約されます。

第1の論点は、冒頭に置かれた「『である』ことと『する』こと」の対比です。身分や家柄、肩書といった「所属や属性(である)」を重視する伝統的社会から、個人の具体的な行為や業績(する)によって価値を測る近代社会への移行を説いた名論考です。丸山はここで、近代民主主義の本質について極めて厳しい警告を発しています。

「自由である」という状態は、一度手に入れたら自動的に維持される権利ではありません。不断に自由を行使し、自ら問い直すという「自由を行為すること」をやめた瞬間、民主主義は容易に形骸化し、専制へと変貌するという指摘です。「市民である」ことに安住して政治への関与を怠れば、権利はあっけなく奪われていく――この洞察は、投票率の低迷や政治的無関心が常態化した現代において、一層重い響きを帯びています。

第2の論点が、日本の学問や組織構造を痛烈に風刺した「タコツボ型文化」の概念です。丸山は、知識や社会集団のあり方を「ササラ型」と「タコツボ型」という2つの比喩で対比させました。

西欧型の「ササラ型」文化では、先端の細かい竹の毛(各専門分野)が根元の強固な柄(共通の哲学や人間観)でひとつに束ねられています。そのため、専門分野が細分化しても、互いに共通言語を持って対話することができます。これに対して日本の「タコツボ型」文化は、それぞれのタコツボ(専門領域や企業内の部署)が独立して深く掘り下げられており、横のつながりや共通の前提を一切持っていません。タコツボの内部では阿吽の呼吸による強固な仲間意識が働きますが、一歩外に出ると他者と対話するための共通の言葉を失ってしまうのです。

官庁の縦割り行政、大企業のセクショナリズム、さらにはSNS上で異なるクラスター同士が一切の対話を拒絶して罵倒し合う「エコーチェンバー現象」の原型が、丸山によって半世紀以上も前に言語化されていた事実は驚嘆に値します。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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