現金輸送車はなぜ襲われないのか?知られざる防弾構造と防犯の全貌
現金輸送車はなぜ襲われないのか?知られざる防弾構造と防犯の全貌について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
インターネットの掲示板やSNSで定期的に話題にのぼるのが、「現金輸送車の警備員は実は拳銃を携帯しているのではないか」という都市伝説です。しかし、結論から言えば現金輸送車の拳銃所持の噂は明白な誤りです。
日本の法律(銃砲刀剣類所持等取締法)において、警備会社の社員である民間警備員に拳銃の所持は一切認められていません。どれほど凶悪な犯罪が警戒される現場であっても、所持が許されるのは警察官や海上保安官、自衛官などの公的法執行官に限られます。民間警備員が携行を許可されているのは、警備業法で細かく規定された警戒棒(特殊警棒)や防護盾、催涙スプレーといった自衛用資機材のみです。
武器で威嚇できない代わりに、極限まで高められているのが現金輸送車の車種と構造による受動的防御力です。ベース車両には、トヨタのハイエースや日野のデュトロ、三菱ふそうのキャンターなどの頑丈な商用車が用いられますが、その内部は市販車とは似ても似つかない改造が施されています。
特に重要なのが窓ガラスです。最高レベルの警護車両には、ライフル弾の直撃にも耐える積層構造の現金輸送車防弾ガラス仕様が採用されています。ポリカーボネート樹脂と特殊ガラスを多層圧着させたこのガラスは、至近距離から拳銃弾を撃ち込まれてもクモの巣状にヒビが入るだけで貫通を許しません。
また、車両のボディパネル内部には高張力鋼板やアラミド繊維プレートが仕込まれており、外側からバールやドリルで穴を開けることは極めて困難です。乗降ドアは「インターロック構造(二重扉)」となっており、外側の扉を完全に閉めて電子施錠しない限り内側の扉が開かないため、外部からの侵入者を物理的に遮断します。タイヤパンク時でも時速数十キロで一定距離を走り抜けられる特殊なインサートリング(中子構造)を内蔵したタイヤを備えるなど、力づくでの強奪を寄せ付けない設計が徹底されています。