八つ墓村にスケキヨは出ない?犬神家との混同理由と白マスクの真相
八つ墓村にスケキヨは出ない?犬神家との混同理由と白マスクの真相の疑問点について、最新情報を基に徹底解説します。
スケキヨと双璧をなす、あるいはそれ以上に人々の脳裏に悪夢として刻まれているのが、「頭に2本の角のように懐中電灯を突き刺した男」です。この人物はスケキヨではなく、『八つ墓村』に登場する田治見要蔵(たじみ ようぞう)です。
昭和の名優・山崎努が演じた三十二人殺しの惨劇
1977年の松竹映画『八つ墓村』において、田治見要蔵を演じたのは名優・山崎努でした。白い襦袢をまとい、鉢巻きに角のように立てた2本のナショナル製ナショナルサーチライト(懐中電灯)、首からは自転車用の小型ランプを下げ、腰に日本刀を佩き、手にはブローニングの自動散弾銃。発狂した要蔵が夜の村落を駆け抜け、狂気と憎悪の赴くままにわずか数時間の間に村人32人を次々と惨殺していくシーンは、日本映画史上に残る伝説的シークエンスです。
当時の撮影記録によると、山崎努自身はこの異様な出で立ちについて、カメラマンのファインダーを通じて「本当に鬼が憑依したような気迫」を漂わせていたと関係者が回想しています。闇夜の山中を疾走する光の残像と、無表情に引き金を引き続ける姿のショックがあまりに強烈だったため、後世のパロディではこの要蔵のシルエットにスケキヨのマスクが合成されて消費されることになりました。
「八つ墓村の祟りじゃ〜!」と昭和13年の「津山三十人殺し」
「祟りじゃ〜っ!八つ墓の祟りじゃ〜っ!」と叫んで狂乱するのは、劇中の登場人物である「濃茶の尼(こいちゃのあま)」です。このフレーズはテレビCMで連日大量にオンエアされ、1977年の流行語大賞候補になるほどの社会現象となりました。
そして、この惨劇の元ネタとなったのが、1938年(昭和13年)に岡山県苫田郡西加茂村で実際に発生した「津山事件(津山三十人殺し)」です。犯人の都井睦雄(当時21歳)が夜間に2本の懐中電灯を頭に装着し、猟銃と日本刀で近隣住民30人を殺害して自害した未曾有の凶行。横溝正史はこの実在の猟奇事件を骨格に据え、戦国時代の落武者伝説と結びつけて『八つ墓村』という壮大なミステリを構築しました。つまり、田治見要蔵のビジュアルは映画の創作ではなく、現実の凄惨な事件記録をリアルにトレースした結果生まれたものでした。