原因不明の血尿や左側腹部痛の正体|ナッツクラッカー症候群の全貌
原因不明の血尿や左側腹部痛の正体|ナッツクラッカー症候群の全貌の注目されている理由をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。
ナッツクラッカー症候群(Nutcracker Syndrome)という特徴的な病名は、血管の位置関係がまるで「硬い殻のクルミを割る道具(くるみ割り器=ナッツクラッカー)」に似ていることに由来します。
人体において、左側の腎臓から心臓へと血液を戻す「左腎静脈」は、背骨の前を走る太い「腹部大動脈」と、その前方から分岐して小腸などに血液を送る「上腸間膜動脈(SMA: Superior Mesenteric Artery)」という2つの強靭な動脈の間をすり抜けるように走行しています。何らかの理由でこの2つの動脈の隙間が狭くなると、柔らかい壁を持つ左腎静脈が前後に挟まれて強い圧迫を受け、血液の通過障害が発生します。これが左腎静脈圧迫症候群の本態です。
静脈が挟まれて血流がせき止められると、左腎臓内部の静脈圧が異常に上昇します。その結果、腎臓の集尿システムである腎盂や腎杯を取り巻く極めて細く脆弱な毛細血管網に過度な圧力がかかり、微細な血管破綻が起きて尿中に赤血球が漏れ出します。これが、多くの患者を悩ませるナッツクラッカー症候群の血尿(顕微鏡的血尿からワインのような肉眼的血尿まで)の直接的な原因です。
さらに、うっ血した血液は逃げ場を失い、左腎臓周囲の神経を刺激したり、側副血行路(バイパスとなる迂回血管)を拡張させたりします。これにより、ズキズキとした鈍痛や重苦しい違和感としてナッツクラッカー症候群の左側腹部痛や左背部痛が生じるのです。特に長時間の立ち仕事や運動の後、あるいは夕方以降に症状が悪化しやすい傾向があります。