トイ・ストーリー1キャラクター一覧|初期設定の真相と声優秘話を解剖
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世界中で愛される陽気で仲間思いのウッディですが、ピクサーの制作初期において、彼が「救いようのない悪辣な腹話術人形」として設計されていた事実は、映画ファンの間でも伝説的な裏話として語り継がれています。
1993年11月19日、ピクサー史において「ブラック・フライデー(暗黒の金曜日)」と呼ばれる悪夢の社内試写会が行われました。ディズニー側から制作を統括していた当時のディズニー幹部ジェフリー・カッツェンバーグは、ピクサーのスタッフに対して「子どもだましの甘っちょろい映画ではなく、もっとエッジの効いた、皮肉とトゲに満ちた大人向けのトーンにしろ」と執拗に要求していました。
その要求を過剰に反映させた初期ラッシュフィルムのウッディは、以下のような衝撃的なキャラクターでした。
- 外見は現在の温かみのある布製トイではなく、口元が機械的に動く不気味な「腹話術人形」。
- アンディの部屋で絶対権力を振りかざし、スリンキーを理不尽に罵倒し、他のおもちゃを恐怖で支配する冷酷な暴君。
- バズが部屋にやってくると、嫉妬のあまり「故意に、殺意を持って窓からバズを突き落とす」という冷徹な悪行を平然と働く。
この試写を観たディズニー首脳陣は激怒。「こんな嫌悪感しか湧かない主人公の映画を誰が観るのか」と酷評され、制作は即座に全面ストップ。スタジオは閉鎖寸前、企画そのものが白紙撤回される危機に瀕しました。
監督のジョン・ラセター、脚本のアンドリュー・スタントン、ピート・ドクターらは、ディズニーから与えられたわずか2週間の猶予期間の中で、カッツェンバーグの指示を無視して自分たちが本来作りたかった原点へと立ち返りました。「おもちゃにとって最も尊い存在は子どもであり、おもちゃの行動原理はすべて子どもへの純粋な愛と、居場所を失う恐怖から生じているはずだ」という再定義です。
ウッディは腹話術人形から温かみのあるカウボーイ人形へとデザインが刷新され、バズを窓から落とす動機も「机の裏に隠して自分が連れて行ってもらうはずが、予期せぬ連鎖反応で落下してしまった過失」へと修正されました。さらに、過ちを犯したウッディが自己の小ささを認め、バズを救い出すために命を懸ける成長譚へとスクリプトが根本から書き直されたのです。
また、ボーピープ初期キャラクター設定にも商業的な大転換がありました。制作陣は当初、おもちゃの世界のヒロインとして世界一有名な着せ替え人形「バービー」の登場を熱望し、製造元のマテル社に熱烈なオファーを出していました。しかし、当時のマテル社は「フルCG映画の成功に懐疑的である」「バービーの性格を一本の映画で固定化させたくない(購入した子どもたちが自由にパーソナリティを与えるべきというブランド戦略)」という理由から、オファーを即座に拒絶したのです。
代役として生み出されたのが、磁器製のランプ用人形ボー・ピープでした。プラスチック玩具ばかりの部屋の中で、壊れやすい陶器であるという危うさと、どんな状況でも感情的にならないエレガントな大人の包容力を与えられた彼女は、結果としてウッディの人間臭い焦燥感を際立たせる無二のパートナーとなったのです。(なお、第1作の世界的大ヒットを見たマテル社は方針を180度転換し、『トイ・ストーリー2』以降でバービーの出演を大々的に許可することになります)。