震度7はどれくらいの揺れなのか?生存率を分ける限界と命を守る備え
震度7はどれくらいの揺れなのか?生存率を分ける限界と命を守る備えの基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
防災情報を正確に理解する上で、避けて通れないのが震度7とマグニチュードの違いです。日常の報道で混同されがちですが、両者は物理的な意味が根本から異なります。マグニチュード(M)は「地震そのものが放出したエネルギーの総量(規模)」を示す固有の値であり、震度は「観測地点における揺れの強さ」を示す相対的な尺度です。電球に例えるならば、マグニチュードは電球のワット数(光源の明るさ)であり、震度はそこから離れた部屋の手元がどれだけ明るいかという照度に該当します。したがって、マグニチュードが6クラスの中規模地震であっても、震源が極めて浅い直下型であれば局所的に震度7を記録しますし、逆に東日本大震災のようにマグニチュード9.0の超巨大地震であっても、震源から遠く離れた地域では震度5弱や4にとどまる現象が起こります。
地震動の激しさを表す物理単位として用いられるのが「ガル(Gal:加速度の単位)」と「カイン(cm/s:速度の単位)」です。一般に1ガルは毎秒1cm/s²の加速度を示し、地球表面の重力加速度は約980ガルです。震度7の揺れガル数の目安を見ると、過去の震度7観測地点では重力加速度を大幅に超える数値が日常茶飯事のように計測されてきました。2008年の岩手・宮城内陸地震では震度6強ながら一関西観測点で4,022ガルという驚異的な局所加速度が記録され、熊本地震の益城町では1,580ガル、東日本大震災の宮城県栗原市では2,933ガルを記録しました。
ただし、建物の倒壊に決定的な影響を与えるのは加速度(ガル)だけではありません。建物を大きく揺さぶり破壊に至らしめる「周期1〜2秒の揺れ(キラーパルス)」を反映した速度(カイン)が重要視されます。震度7を観測する直下型地震では、このキラーパルスが極めて高いエネルギーを持って襲来するため、木造住宅をはじめとする構造物が瞬時にねじ切られる事態に陥ります。
ここで多くの人が疑問を抱くのが、震度7以上の階級が存在しない理由です。気象庁の震度階級は1948年の福井地震(死者3,769人)を機に、従来の震度6の上限を突破する被害を適切に表現するため、1949年に震度7が新設されました。その後、1996年の改定で計測震度計による客観的な数値算出が導入され、震度5と震度6にはそれぞれ「弱」と「強」が設けられ現在の全10段階となりましたが、震度7の上には「震度8」は作られませんでした。
その理由は極めて実務的です。計測震度6.5以上はすべて震度7として一括りにされますが、このレベルに達すると、地表の構造物はすでに壊滅的な被害を受け、建物の倒壊率は上限に張り付きます。さらに、震度7を観測した時点で国や地方自治体は「激甚災害指定」「自衛隊の災害派遣要請」「非常災害対策本部の設置」など、制度上持ちうる最大級の防災・救援リソースを自動的に全投入します。災害対策行政の観点から見て、震度7を超えてさらに細分化する実利が存在しないことが、最大階級が7で止まっている本質的な理由です。