辛い時どうすればいい?無理な前向きが逆効果になる理由と回復の処方箋

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気分が沈み、打ちひしがれている時に「ポジティブに考えよう」「感謝できることを探そう」と自分を奮い立たせようとした経験は誰にでもあるはずです。しかし、感情研究の現場では、この状態を「トキシック・ポジティビティ(有害な前向きさ)」と呼び、強い警鐘を鳴らしています。

臨床心理学における感情抑制実験や脳機能画像研究によると、悲しみや恐怖、絶望といった負の情動を「感じてはいけない」と頭で抑え込もうとすると、脳の扁桃体が過剰に興奮し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が跳ね上がることが立証されています。無理に前向きな言葉を唱える行為は、火が燃え盛る部屋の火災報知器にガムテープを貼ってアラームを止めるようなものに過ぎません。

ネットの知恵袋やSNSでも「ポジティブになろうとするほど自分が惨めに思えて涙が止まらなくなった」という告白が後を絶ちません。辛い時にまず必要なのは、前を向くことではなく、「今、自分は底知れず傷ついている」という客観的事実をそのまま受け止める自己受容(セルフ・コンパッション)です。ネガティブな感情を排除しようと抵抗するのをやめた瞬間から、神経系の回復スイッチが入り始めます。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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