大相撲の懸賞金は1本いくら?手取り額と税金のカラクリを徹底解剖
大相撲の懸賞金は1本いくら?手取り額と税金のカラクリを徹底解剖についての疑問解決ガイドをご紹介します。
土俵上で受け取る大金の束を見ていると、「関取は毎日現金を持ち帰って豪遊しているのではないか」と羨望の眼差しを向けられがちです。しかし、舞台裏を知る元力士や税務関係者の証言からは、極めて現実的かつシビアな実態が浮かび上がってきます。
大相撲の力士は、日本相撲協会に雇用されているサラリーマンではありません。法的には全員が「個人事業主」という扱いになります。したがって、毎月支給される基本給(給与所得)とは別に、懸賞金として手にした金額は税法上の「事業所得」に算入されます。
幕内の上位力士ともなれば、月給に加えて年間数千万円規模の懸賞金やCM出演料、後援会からの祝儀が入るため、所得税率は住民税と合わせて最高税率の約55%が適用されます。確定申告の時期を迎えると、億単位の収入を得た横綱・大関には数千万円単位の納税通知が容赦なく届くことになります。
昭和中期までの相撲界では、土俵上で手渡された懸賞金をその晩の飲み代やタニマチとの交際費、付け人への大盤振る舞いで使い果たしてしまい、翌年の3月に税務署から巨額の追徴課税を受けて破産寸前に追い込まれる力士が後を絶ちませんでした。この悲惨な税金トラブルを根絶するために導入されたのが、「1本につき3万円を相撲協会が強制的にプールする納税準備積立金制度」だったのです。
確定申告時に計算された本人の所得税は、この積立金から直接税務署へ納付されます。もし納税額を差し引いて積立金が余れば力士本人に還付され、不足が生じた場合のみ自己資金から補填する仕組みです。このシビアな資金管理があるからこそ、金銭感覚が狂いやすい若き力士たちの財産が強固に守られているのです。
さらに、支度部屋へ引き揚げた力士の手元に残る「3万円の現金」にも独自の使い道があります。大相撲の慣習として、身の回りの世話や稽古相手を務めてくれる「付け人」たちに対し、勝った力士は熨斗袋から現金を取り出して心づけを配るのが伝統です。土俵上で数十本の懸賞を受け取っても、付け人への祝儀、部屋の若い衆への食事の差し入れ、後援会関係者への御礼に消えていくため、個人の銀行口座に純粋な貯金として残る金額は見た目の印象よりもはるかに堅実なものとなります。