小野賢章とハリー・ポッター10年の軌跡|声変わり危機と抜擢の真実
小野賢章とハリー・ポッター10年の軌跡|声変わり危機と抜擢の真実の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。
第1作『賢者の石』、第2作『秘密の部屋』と順調に大ヒットを記録するなか、思春期を迎えた小野の前に立ちふさがったのが声変わり(変声期)の壁でした。特に大きな異変が起きたのは、2004年公開の第3作『アズカバンの囚人』から第4作『炎のゴブレット』にかけての時期です。
一般的に、子役が洋画吹き替えを担当する場合、声変わりを迎えると大人の声優へと交代(キャスト変更)するのが映画界の通例でした。実際、小野の喉も急速に変化し、昨日は出せていた高音域が翌日にはかすれ、アフレコ現場でマイク前に立つことすら恐怖を覚える日があったと当時の取材で語られています。喉のコントロールが利かず、台詞を喋るたびに裏返ってしまう現実に、小野自身も「もう役を降ろされるのではないか」と深刻なプレッシャーに苛まれていました。
当時、ネット掲示板やファンの間では「ハリーの声優が変わるらしい」「声変わりが原因で降板が決定した」という噂が一気に拡散しました。しかし、結果として降板劇は起こりませんでした。その背景には、日本語版演出スタッフの並々ならぬ覚悟と英断がありました。
音響監督をはじめとする制作陣は、「ダニエル・ラドクリフの肉体と声が変声期を経て大人になっていくのと同様に、吹き替え版も小野賢章自身の成長のグラデーションをそのまま刻むべきだ」と判断したのです。収録スケジュールを小野の声帯の調子に合わせて細かく分割し、無理な発声ではなく、低くなりつつある自然なトーンを活かした芝居プランへとシフトしました。現場の忍耐強いサポートと小野本人の必死の努力によって声変わり期を乗り切ったことで、「少年から青年へのリアルな変貌」が奇跡的にフィルムへ焼き付けられることとなりました。