二次関数の平行移動で符号が逆になる理由は?裏技と解き方をプロが徹底解説
二次関数の平行移動で符号が逆になる理由は?裏技と解き方をプロが徹底解説の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
「右(正の方向)へ動かすのに、なぜマイナスを引くのか」――この疑問は、高校数学を学ぶほぼ全ての生徒が一度はぶつかる壁です。教科書には「$x$軸方向に$p$、$y$軸方向に$q$だけ平行移動するとき、$x$を$x - p$に、$y$を$y - q$に置き換える」と書かれていますが、この記述だけでは直感的な納得感を得られません。
符号が逆になる決定的な理由は、私たちが求めているのが「移動したあとの新しい座標が満たす関係式」だからです。この仕組みを、具体例と数学的な論理の双方から紐解きます。
まず、原点を頂点とする放物線 $y = x^2$ を考えます。このグラフをx軸方向に$+3$だけ平行移動させた放物線を頭に思い浮かべてください。元のグラフでは、$x = 0$ のときに $y = 0$ という最小値をとっていました。
グラフ全体を右に3つずらした場合、新しいグラフで高さが $0$ になるのはどこでしょうか。当然、$x = 3$ の地点です。つまり、新しい関数に $x = 3$ を代入した瞬間に、計算結果が「かつての $x = 0$ を代入したときと同じ状態(=$0$)」にならなければなりません。そのためには、代入した $3$ からあらかじめ $3$ を差し引く仕掛け、すなわち $(x - 3)$ という形があらかじめ式に組み込まれている必要があります。
これを数学的に厳密な「軌跡の考え方」で整理すると、より明快になります。
移動前の放物線上の点を $(s, t)$、移動後の放物線上の点を $(X, Y)$ と置きます。元のグラフが $y = ax^2$ であるなら、点 $(s, t)$ は当然ながら $t = as^2$ を満たしています。
ここで、$x$軸方向に$p$、$y$軸方向に$q$平行移動したとすると、新旧の座標には次の関係が成立します。
$X = s + p \implies s = X - p$
$Y = t + q \implies t = Y - q$
私たちが手に入れたいのは、新しい座標 $X$ と $Y$ の関係式です。手元にある手がかりは、過去のルールである $t = as^2$ しかありません。そこで、$s$ と $t$ を消去するために上の式を代入します。
$(Y - q) = a(X - p)^2 \implies Y = a(X - p)^2 + q
このように、「新しい場所から元の条件を参照するために、移動分を差し引いて過去に戻す」という逆算の処理が発生するため、数式上は必ずマイナスの符号が現れます。実は $y$ 軸方向もまったく同じであり、左辺が $(y - q)$ となっていたものを、右辺に移項した結果として $+q$ と見えているに過ぎません。