失敗は成功の母はエジソンの言葉ではない?意外な由来とビジネスの真実
失敗は成功の母はエジソンの言葉ではない?意外な由来とビジネスの真実について知っておくべき 事実を厳選して解説いたします。
「失敗は成功の母という名言を残したのは誰か」と問われれば、大多数の日本人は「発明王トーマス・エジソン」と答えるはずです。しかし、米国の歴史的記録やエジソン記念館(Thomas Edison National Historical Park)などに残る膨大な一次史料を精査しても、エジソンが「Failure is the mother of success」と発言した公的記録は確認できません。
では、エジソンが実際に残した言葉とは何だったのでしょうか。蓄電池の開発で数千回もの実験を重ねていた際、助手から「実験がうまくいかず、何の成果も出ていない」と嘆かれたエジソンは、次のように返したと記録されています。
「私は失敗したのではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ(I have not failed. I've just found 10,000 ways that won't work.)」
エジソンにとって実験の中断や予想外の数値は「失敗」ではなく、ゴールへ至るための「客観的な事実データの蓄積」に過ぎませんでした。この実験に対する強烈な哲学が、後世の伝記作家や日本の翻訳者によって「失敗は成功の母」という情緒的なことわざと結びつけられ、あたかも本人の口癖であったかのように定着したのが実相です。
一方、東洋に目を転じると、中国には古くから「失敗乃成功之母」という著名な成句が存在します。中国古典の『戦国策・燕策』には「前事之不忘、後事之師也(前事の忘れざるは、後事の師なり)」という教えがあり、過ちを次の行動の規範にする思想が深く根づいていました。近代中国の文学者や思想家たちも「失敗乃成功之母」を好んで揮毫しており、日本でも明治期に西洋思想と漢籍の知見が交差するなかで、広く人口に膾炙したと考えられています。