ドリフターズバンドの演奏力が本物だった驚愕の真相|ビートルズ前座の全貌

ドリフターズバンドの演奏力が本物だった驚愕の真相|ビートルズ前座の全貌の注目されている理由を専門的かつ分かりやすくまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

コメディアンとしての強烈なキャラクターの陰に隠れがちですが、ドリフターズメンバー担当楽器における各人の技術的練度は、当時のスタジオミュージシャンと比較しても極めて高い水準にありました。いかりや長介氏の自著『だめだこりゃ』でも語られている通り、彼らの笑いは「完璧な演奏技術という土台」があって初めて成立する緻密な計算の上に成り立っていました。

メンバー・担当楽器詳細・技術的特徴音楽的ルーツ・実績専門家・業界の評価いかりや長介
(ベース)ウッドベース由来の強烈なアタック感と正確なタイムキープ。ピック弾きと指弾きを自在に使い分ける。カントリー&ウエスタン、ジミー時田とマウンテン・プレイボーイズ出身。グルーヴの推進力は一流。バンドのアンサンブルを束ねるコンダクターとしての評価が極めて高い。加藤茶
(ドラムス)レギュラーグリップから繰り出される俊敏なスネアワーク。ジーン・クルーパ直系のドライビングなスウィング。ジャズドラマー・フランキー堺を敬愛。米軍キャンプでの過酷な巡業経験。当時の日本屈指のドラムテクニック。手数だけでなくスネアのダイナミクス制御が完璧と評される。仲本工事
(ボーカル・ギター)絶対音感に近い正確なピッチ、クリアなファルセットボイス。切れ味鋭いカッティングギター。学習院大学時代にジャズやフォークを吸収。体操で培った強靭なリズム感。ボーカリストとしての表現力はバンドの要。ギブソンES-335等を弾きこなす職人肌のプレイ。高木ブー
(リズムギター・ウクレレ)複雑なテンションコードを正確に押さえるコードボイシング。アンサンブルの隙間を埋めるリズムキープ。学生時代からの本格派ハワイアンミュージシャン。ジャズギターの素養。派手さはないがコード感が極めて豊か。バンドサウンドに厚みと彩りを与える玄人好みの演奏。志村けん
(キーボード)ソウルフルなハモンドオルガン、シンセサイザーの導入。ファンク特有の16ビートを体現するリフ。アメリカのファンク、ソウル、Pファンク(ジョージ・クリントン等)の熱烈なレコードコレクター。荒井注氏の後任として加入後、バンドに最新のブラックミュージックのグルーヴを注入した功労者。

各パートを詳細に追っていくと、まずいかりや長介ベースの実力は、ジャズ喫茶時代に培われた安定感に裏打ちされています。ベースラインをむやみに動かさず、ルート音と5度を正確なタイムで打ち込み続けることで、加藤茶氏のトリッキーなオカズ(フィルイン)を完全に支え切っていました。

さらに特筆すべきは加藤茶ドラムテクニックの評価です。ドラム専門誌の歴代ドラマー特集でも度々言及される通り、彼のドラミングは脱力と手首のスナップを極限まで活かしたもので、力任せに叩く現代のロックドラマーとは一線を画す「鳴りの深さ」がありました。高速テンポでもビートが前に突っ込まず、絶妙にタメの効いたグルーヴを生み出す技術は、昭和のジャズシーンでもトップクラスと目されていました。

メロディ面を支えた仲本工事ボーカルギターの冴えも見逃せません。武道館で披露した高音シャウトはもちろんのこと、裏拍で小気味よく刻まれるコードカッティングは、バンド全体のアンサンブルを軽快に引き締めていました。そこに高木ブーギター演奏の卓越したコードワークが重なります。高木ブー氏はハワイアンで培ったテンションコード(9th、13thなど)を自然にロック編成へ導入しており、単なるスリーコードにとどまらない洗練された響きを演出していました。

1974年に荒井注氏が脱退し、付き人から昇格した志村けんキーボード演奏は、バンドに決定的なサウンド変革をもたらしました。志村氏はプライベートで膨大な輸入盤ソウルやファンクを聴き漁る屈指の音楽マニアであり、ジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーン直系の16ビートのシンコペーションをバンドに持ち込みました。これにより、後期ドリフターズの楽曲は当時の歌謡曲シーンでも異彩を放つブラックコンテンポラリーの質感を帯びるに至ったのです。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest