11月退職の年末調整はどうなる?確定申告の要否と損しない手続きの全貌
11月退職の年末調整はどうなる?確定申告の要否と損しない手続きの全貌とはどのようなものなのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
11月退職者が直面する実務上の最大の危機は、税金の還付よりもむしろ「直後に襲いかかるキャッシュの流出」です。ここで油断すると、退職直後の生活資金が一気にショートしかねません。警戒すべきは「住民税の一括徴収」と「国民健康保険への切り替え」です。
住民税は、前年1月〜12月の所得に対して課税された税額を、翌年6月から翌々年5月までの12分割で毎月の給与から天引き(特別徴収)する仕組みになっています。地方税法の定めにより、1月1日から5月31日までに退職する場合は残りの税額が最後の給与から強制的に一括徴収されますが、6月1日から12月31日までに退職する場合は原則として「普通徴収(自分で納付書で払う方式)」に切り替わります。
注意すべきは、11月退職者が退職手続きの書類上で「一括徴収を希望する」旨の同意書に無意識に署名・押印してしまうケースです。もし11月給与で翌年5月までの残り6か月分の住民税を一括徴収されると、最終給与から10万〜20万円単位の住民税が一気に天引きされ、11月の手取り給与が数千円、場合によってはマイナスになって会社への振り込みを要求される事態に陥ります。退職後の当面の生活費を確保したい場合は、一括徴収を避け、自治体から送られてくる納付書で期日ごとに納める普通徴収を選択するのが賢明な防衛策です。
社会保険の手続きも急務です。11月中に退職して健康保険証を返却した後は、翌日から数えて14日以内に11月退職に伴う国民健康保険への切り替えを行うか、あるいは元の会社の社会保険を継続する「任意継続被保険者制度」を選択しなければなりません。
任意継続は最長2年間加入でき、保険料はこれまで会社が半分負担していた分も含めて全額自己負担(2倍)になりますが、法律で定められた標準報酬月額の上限(多くの健保組合で30万円前後)が適用されるため、前年の収入が高かった人は国民健康保険に加入するよりも保険料を大幅に抑えられるケースが多々あります。お住まいの市区町村の国保担当窓口で試算を行い、どちらの保険料が安くなるかを比較検証したうえで選択することが資産防衛に直結します。