月の地名命名ルールと海・日本人名クレーターの由来全貌
月の地名命名ルールと海・日本人名クレーターの由来全貌の要点や背景を専門的かつ分かりやすくまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。
現在、太陽系内の天体地名は国際天文学連合(IAU)の惑星系命名ワーキンググループ(WGPSN)によって厳格に管理されています。勝手に個人が命名したり、商業目的で命名権を販売したりすることは一切認められていません。
IAUが定める月面地形の命名基準には、明確な原則が存在します。
- クレーター:天文学、物理学、数学など基礎科学の発展に著しい貢献を残した物故者(故人)の科学者・学者・探検家の名前に限る(※アポロ計画やソ連の宇宙飛行士など、存命中に例外的に採用されたごく一部の事例を除く)。
- 山脈・高地:地球上の山脈名(アルプス山脈、コーカサス山脈など)を踏襲する。
- 谷・リンク(細長い窪み):近傍の主要クレーター名を採用する。
- 政治・軍事・宗教の排除:19世紀以降の政治家や宗教的指導者、軍事的な功績のみに基づく命名は原則として却下される。
月面に名を残す日本の偉人たち
月面のクレーターには、世界の天文学・地球科学史に足跡を残した日本人科学者の名が数多く刻まれています。
代表的な例が、江戸時代の天文学者・医学者である麻田剛立に由来するアサダクレーター(Asada / タルンティウス・クレーターの北側に位置)です。麻田剛立はケプラーの法則を独自に援用し、日食・月食の精密な予報技術を確立した先駆者として世界的に評価されています。
他にも以下のような日本の歴史的人物・科学者の名が正式採用されています。
- Ino(伊能忠敬):日本全土の精密な実測日本図(大日本沿海輿地全図)を作製した測量家。
- Hirayama(平山信):小惑星の軌道グループである「平山族(Hirayama families)」を発見した天文学者。
- Nagaoka(長岡半太郎):原子核の周りを電子が回る「土星型原子モデル」を提唱した物理学者。
- Hatanaka(畑中武夫):電波天文学の開拓者であり、東京大学東京天文台教授を務めた天文学者。
- Kimura(木村栄):地球の自転軸変動における「Z項(木村項)」を発見した天文学者。
- Naonobu(安島直円):江戸時代中期の和算家で、積分変数の円理計算に革新をもたらした数学者。