毒舌大僧正・今東光の真実!直木賞作家が『悪名』に込めた慈悲
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痛快な悪漢小説で名を馳せる一方、今東光は息を呑むほど繊細な純愛と宗教的殉教を描く名手でもあった。直木賞を受賞した『お吟さま』は、茶聖・千利休の娘であるお吟と、キリシタン大名・高山右近の叶わぬ恋を描いた傑作時代小説である。
権力者・豊臣秀吉の理不尽な欲望に屈することなく、自らの信仰と愛に殉じた女性の気高い生き様。今東光の筆致は、仏教者ならではの生死観と、徹底した歴史考証に裏打ちされていた。時代小説という枠組みを軽々と飛び越え、人間の尊厳と美の極限を描き切った本作は、日本文学史に燦然と輝く名作として今も読み継がれている。