実は通じない?「プラスアルファ」の意外な語源と正しい英語の言い換え術
実は通じない?「プラスアルファ」の意外な語源と正しい英語の言い換え術の詳細について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。
言葉の成り立ちを紐解くと、極めて興味深い歴史的経緯が浮かび上がってきます。プラスアルファの語源について、小学館『デジタル大辞泉』や三省堂などの主要国語辞典では、「未知数を示すアルファベットの『X』を、ギリシャ文字の『α(アルファ)』に読み間違えたもの」という説明が補説として記載されています。
では、なぜ数学の未知数「X」が日常語の「α」へと転身を遂げたのでしょうか。言語学者やメディア関係者の調査取材によると、その発端は昭和初期の日本のプロ野球報道にあるという説が極めて有力視されています。
野球では、後攻チームがリードした状態で9回裏を迎えると攻撃を行わずに試合が終了します。また、同点で迎えた9回裏にサヨナラ勝ちを収めた場合、当時のスコアボードや新聞の戦評欄には「9回裏に何点入るか分からない」「未知の得点が入って勝利した」ことを示すため、数字の代わりに未知数を意味する「X」を付記していました。これをスコアブックや電報越しに目にした当時の新聞記者や実況担当者が、走り書きされた筆記体の「X」をギリシャ文字の「α」と誤読し、そのまま「プラスアルファ」として紙面や電波に乗せてしまったのが定説とされています。
この誤読から生まれたキャッチーな響きは瞬く間に大衆を惹きつけました。1970年代には朝日放送(ABCテレビ)が昼の人気情報番組として『ワイドショー・プラスα』を放送するなど、昭和後期のテレビメディアを通じて完全に大衆語として定着したのです。本来の英語である「+x(プラスエックス)」が、記者の見間違いという偶然を経て、日本語の独自の美観に溶け込んだ稀有な事例といえます。