風邪に抗生物質は逆効果?効かない医学的理由と耐性菌リスクの真相
風邪に抗生物質は逆効果?効かない医学的理由と耐性菌リスクの真相に関する基本知識を初心者にも親しみやすくまとめました。今すぐチェックことができます。
なぜ効果がないにもかかわらず、過去には多くの抗生物質が漫然と処方されてきたのでしょうか。厚生労働省や国立国際医療研究センターの「AMR臨床リファレンスセンター」の報告によると、背景には「何か強い薬を出してもらわないと安心できない」という患者側の期待と、「断ってトラブルになるのを避けたい、あるいは他院に患者が流れるのを防ぎたい」という医療従事者側の心理的圧迫が存在していました。
SNSや健康相談の投稿を分析しても、「病院に行ったのにうがい薬とトローチしか出されずヤブ医者だと思った」「抗生物質を飲んだら翌日には熱が下がった(※実際にはウイルスの自然治癒過程と重なっただけ)」という誤解が根強く残っています。
しかし、こうした不適切な使用が積み重なった結果、世界規模で「薬剤耐性菌(AMR: Antimicrobial Resistance)」という重大な脅威が拡大しています。
抗生物質を使うと、体内の感受性がある細菌は死滅しますが、遺伝子の変異などによって薬への抵抗力を獲得した「耐性菌」だけが生き残って増殖します。WHO(世界保健機関)の試算によると、適切な対策を取らなければ、2050年には薬剤耐性菌による世界全体の年間死亡者数が1,000万人を超え、がんによる死亡者数を上回ると警告されています。
将来、自分や家族が本当に重篤な細菌感染症(敗血症や難治性肺炎など)にかかった際、「使える抗生物質が存在しない」という事態を招かないためにも、無駄な使用を止めることが社会全体で求められています。